ネット上の誹謗中傷を削除する方法&手続きの流れ

万一掲示板やSNSで誹謗中傷の書き込みを見つけた場合、取り急ぎ削除しなくてはなりません。真っ先に思いつくのはサイト管理者に任意の形式で問い合わせる方法ですが、他にもガイドラインによる「送信防止措置」や「削除の仮処分」といった方法があります。

本記事で投稿削除の方法と基本的な流れを押さえれば、初動で被害拡大を最小限に抑えられるでしょう。

ネット上の誹謗中傷を削除する方法

掲示板やSNSに誹謗中傷が書き込まれた場合、削除する方法は主に3つあります。

  1. サイト管理者に削除依頼を出す
  2. ガイドラインに基づき削除請求する
  3. 裁判で削除請求する(削除の仮処分)

問題の投稿を削除する方法のうちの2つは、裁判外でサイト管理者に対応してもらうものです。サイト管理者への削除依頼(上記1)をしても期待できないのなら、一般社団法人テレコムサービス協会(テレサ協)のガイドラインに沿った削除請求(上記2)を行うことも考えられます。
より確実な対応を取ってもらうための厳しい措置として、管轄裁判所に削除を求める仮処分命令を申し立てる方法も考えられます(上記3)。

投稿削除までの期間

いったん対応を始めると、悪意ある投稿は最短7日程度(※郵便物の送達日数を除く)で削除されます。もっとも、これはガイドラインに基づき請求した場合の目安です。

他に期間の目安が言えるのは「削除の仮処分」で、申立てから数週間から3か月程度の時間を要します。
実際のところ、削除請求ではなく「サイト管理者への依頼」として対応を求める場合、対応完了までの期間はまったく予測できません。数日で削除される場合もあれば、いつまで経っても動きがない場合もあります。 そのため任意の交渉で対応を求める方法が、常に適しているとは限らないのです。

削除請求できる権利侵害の例

ガイドラインまたは裁判手続きによる場合はもちろん、サイト管理者への請求による投稿削除においても、法律上の権利が侵害されていることが削除の要件となります。企業や店に対する典型的な権利侵害の例として、以下のようなものが挙げられます。

信用毀損 会社等につき、嘘の書き込みで信用が傷ついた
名誉毀損 経営者等の個人について、嘘の書き込みで名誉が傷ついた
プライバシー侵害 経営者等の個人について、公にしていない私生活上の事実や知られたくない情報が投稿された※
著作権侵害 イベントの映像や音声記録、放送、その他の国内で保護される著作物が無断で投稿された
商標権侵害 商品や登録商標の画像、もしくは類似する画像が無断で投稿された

※社会の正当な関心事である場合等はプライバシー侵害に該当しない場合もあります。

サイト管理者に誹謗中傷を削除してもらう流れ

悪意ある投稿を見つけた場合、手元ですぐ出来るのはサイト管理者への削除依頼です。
基本的な流れとしては、まずウェブ上で「削除依頼フォーム」を見つけ、そこから投稿内容を指摘して消してもらうよう依頼します。被害者から送った内容を管理者あるいは運営会社が確認し、確かに問題があると判断されれば、削除されるはずです。

とはいえ、手順も依頼方法も上記の限りではありません。詳しくは以下で解説する通りです。

削除依頼フォームがある場合

まず迷うのは削除依頼フォームの場所ですが、掲示板や口コミサイトなら利用者向けのFAQページにあるのが一般的です。
一方で、SNSや動画配信サイトの場合、依頼フォームの代わりとなる「違反報告システム」が導入されています。問題の誹謗中傷にあたる投稿から報告すると、審査され、問題ありと判断された場合は非表示または削除処理がされる仕組みです。

削除依頼フォームがない場合

専用フォームや違反報告が使えないサイトでは、通常サイトに設置される「お問合せフォーム」で削除依頼する他ありません。ただしこの場合、迅速な対応は到底期待できません。重要な内容にも関わらず、別ジャンルの優先度の低い問い合わせと同等に扱われてしまうためです。

そこで、ガイドラインもしくは裁判手続による削除請求を視野に入れなくてはなりません。

ガイドラインに基づく誹謗中傷削除請求の流れ

裁判外で迅速な対応を求めるなら、一般社団法人テレコムサービス(通称:テレサ協)のガイドラインに沿って削除請求します。

上記ガイドラインは削除請求や発信者情報開示請求に関する具体的手続きを規定したものです。
そのため、サイト管理者への削除依頼フォームを使うよりもガイドラインに基づく送信防止措置依頼書(テレサ書式)により請求した方が、より削除に成功しやすいと言えます。

Step1.送信防止措置依頼書(テレサ書式)の送付

ガイドラインに沿って削除請求するには、テレサ書式とも言われる「送信防止措置依頼書」および身分証明書の写し等の必要書類をサイト管理者に郵送する必要があります。
氏名住所等の他に記入する必要があるのは、以下の項目です。

①掲載されている場所  問題の投稿が特定できる情報
 ※URL、掲示板の名称、日付等
②掲載されている情報  投稿の内容
 ※ありのまま記入する
③侵害されたとする権利  権利侵害の型
 ※名誉毀損、プライバシー侵害等
④権利侵害されたとする理由  被害の状況等
 ※迷惑電話が何件もあった、精神的苦痛を被った、等

参考:送信防止措置依頼書の記入例(プロバイダ責任制限法関連情報Webサイト)

【ポイント】依頼書は弁護士名で送付する

送信防止措置依頼書は、本人が自分で送ることももちろん可能ですが、弁護士が代理人として送ることも多くなされています。
被害者本人による直接の請求だと、侵害されている権利が的確に記載できていなかったり、対応してもらえない場合に速やかに裁判手続き(削除の仮処分)に移行しづらいことが想定されます。そうした点で、弁護士が代理人として送信防止措置依頼書をサイト管理者等に送付することのメリットがあります。

Step2.発信者への意見照会

テレサ書式を受け取った管理者は、侵害情報(=問題の誹謗中傷にあたる投稿)を確認した後、自主的に削除できるか判断します。客観的に見て権利侵害が明らかでない等、削除措置の判断に悩む場合は、発信者に対して意見照会が行われます。

【ポイント】被害者の氏名通知に同意するかを検討する

意見照会の際、送信防止措置依頼書はそのまま発信者に通知がなされますが、削除請求した者の情報は伏せられるのが基本です。氏名を相手に開示したい場合には、テレサ書式内でその旨のチェック欄にチェックを入れることになります。

Step3.サイト管理者による削除対応

送信防止措置依頼について「自主的に削除すべき」と判断されれば、もちろん即座に措置されます。意見照会を行う場合でも期限があり、7日以内に発信者から回答がなければ管理者は該当する投稿記事を削除可能というルールになっています。
なお、悪意について自覚している投稿者は、意見照会に無回答とするのが一般的です。

裁判手続による削除請求の流れ(削除の仮処分)

これまで説明した依頼・請求の手段は、いずれもサイト管理者が任意で応じるものです。対応が期待できないのなら、民事保全法に基づき「削除の仮処分」を裁判所に申立てざるを得ません。具体的には、海外法人が運営するサイトに投稿があったケース等が考えられます。

なお、通常の裁判(訴訟手続き)ではなく「仮処分命令の申立て」とするのには理由があります。
訴訟が始まると、判決または和解まで数か月~1年程度の時間がかかります。一方の仮処分命令なら、最短数週間程度と解説したように、はるかに短い期間で投稿削除の可否について裁判所に決定を出してもらえます。

Step1.仮処分命令の申立て

削除の仮処分にあたっては、まず申立書と誹謗中傷の証拠を管轄裁判所に提出します。証拠については、被害について正確に把握しようと「債権者面談」が行われることもあります。

詳しい手続きの要件は、以下のように通常の訴訟とは異なります。

仮処分命令の管轄地

誹謗中傷トラブルで多い投稿者の身元特定(=発信者情報開示請求)等のための訴訟提起は、原則として相手の住所地で行います。
一方、削除の仮処分は「不法行為があった地」、つまり投稿を確認できる地ならどこでも申し立てられます(民事訴訟法5条9号)。

権利侵害の証拠の確信の程度

通常の裁判では、投稿による権利侵害を確信するに至る証拠が必須です。この点も、仮処分命令の申立てであれば、「一応確からしい」と疎明できる程度の資料でたります (民事保全法13条)

Step2.審尋

海外サイト等の例外もありますが、普通は申立後にサイト管理者の言い分を聞く機会が設けられます。裁判所が定めた審尋期日には、削除措置すべきでないとする主張が出てくるでしょう。
手続きの進行は、サイト管理者が審尋に応じなくても止まりません。その場合は仮処分命令が発せられる直前の最終段階へと進むだけです。

Step3.立担保

審尋で被保全権利があると認められれば、法務局に指定の金額を供託する「立担保」へ進みます。金額はケースごとに異なりますが、30万円から50万円の範囲に収まるのが一般的です。
なお、担保金は後日手続きをすれば返却されます。処分が不適切だったと後から分かる場合もあるとして、万一の時にサイト管理者が受ける損害を補填するためのものだからです。

Step4.仮処分命令の発令

担保金を供託すれば、裁判所より速やかに仮処分命令が発せられます。
普通はこの時点で投稿削除に至りますが、なお対応しないケースもあるでしょう。そのような場合は「強制執行」の手続きに移るべきです。

強制執行すれば、相手方は裁判所が命じる金額を支払わなくてはなりません(民事保全法521項・民事執行法172)。金額は時間経過と共に積み上がり、サイト管理者としては流石に対応せざるを得なくなります。

ネット上の誹謗中傷が削除された後の措置

ネット上にある誹謗中傷の投稿を削除できたからと言って、まだ終わりではありません。対応を中途半端に終わらせれば、被害が完全に収束しないばかりか、同じ投稿者によるトラブル再発もあり得ます。
対処の手を緩めず、仕上げに下記措置も行いましょう。

発信者情報開示請求で身元特定する

投稿者に二度と同じことを繰り返させないためには、本人に損害賠償請求し、請求を通じて誓約させる他ありません。そのために「発信者情報開示請求」で氏名住所を特定する必要があります。

上記請求は投稿削除と同じくガイドラインに沿って行えますが、実際には複雑な手続きになります。少なくともサイト管理者(コンテンツプロバイダ)と通信回線業者(経由プロバイダ)の両方に請求することになる上、後者に関しては基本的に訴訟を提起しなければなりません。
いずれにせよ、投稿者を特定するための手続きは、書き込み状況や投稿者の使っているインターネット事業者によって全く異なります。普通は9カ月程度の期間を要する点からも、手続きに詳しく必要な手配が出来る弁護士への依頼は不可欠です。

まとめ

ネット上に誹謗中傷が書き込まれた場合、基本的にサイト管理者に連絡をとって削除させます。この時、専用フォーム等を使った問い合わせでは対応がしてもらえないような場合には、ガイドラインに基づき送信防止措置依頼書(テレサ書式)を郵送する方が確実です。
最終手段として削除の仮処分命令が検討できますが、申立書作成や審尋への対応等、法律に沿って手続きを進めなくてはなりません。

悪意のある書き込みが放置されると、その期間に応じて被害規模が大きくなります。大切な信用と売上を守るため、弁護士に削除の代行を依頼し、状況ごとにスピーディで確実な方法を採ることをおすすめします。

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