利用規約(定型約款)の必要性と規定にあたっての注意点

1.民法改正による定型約款(利用規約)の明文化

例えばインターネット通販やマッチングサイトの運営などを事業として行う場合、企業は不特定多数の顧客にサービスを提供することとなります。

このような場合、企業が提供するサービスのルールについて個々の顧客と個別に契約書を交わすことは事実上不可能です。そのため、このような不特定多数の顧客とサービス提供企業との間のルールを一律に定めるものが、利用規約(定型約款)となります。

 利用規約は、これまでも多くの企業がそのサービス提供にあたって定めてきており、これまではその有効性などについて、民法上で明確に規定がなされていませんでした。そこで、民法改正により、2020年4月から利用規約が一定の要件のもとで、契約の内容となることが明記されるとともに、利用規約の適用にあたっての制限などが民法に明記されることが決まりました。

2.クレーム対応における利用規約の重要性

このように、利用規約は不特定多数の顧客とサービス提供企業とのルールとして効力をもつものであるため、新規にこうしたサービスを提供する企業にとって、利用規約の内容を充実させることは非常に重要です。

特に、不特定多数の顧客にサービスを提供するにあたって、顧客からのクレーム対応という観点において、利用規約の条項で、サービスの内容や企業がどこまでの責任を負うかといった範囲を明確にしておくことにより、こうした顧客とのトラブルのリスクを低減させることは利用規約の重要な役割です。

 顧客から企業に対し苦情があった場合、利用規約に照らして妥当なものであれば、それに誠実に対応することはもちろん大切です。一方で、明らかに利用規約で定めた企業の責任の範囲を超えているクレームがなされた場合には、利用規約の条項を説明することでこうしたトラブルを抑止できる場合もあります。

仮にこうした説明をしても顧客が納得せず、損害賠償訴訟等を起こされた場合は、裁判所の判断においても利用規約の内容をもとに判断されることが想定され、敗訴のリスクを低減させる意味があります。

 3.利用規約作成にあたっての注意点

上記の通り、利用規約をあらかじめ定めておくことは顧客とのトラブル防止等にあたって重要なものですが、利用規約に定めがあっても一方的にサービス提供者に有利な条項等は利用規約への組み入れが否定される(条項として合意したことにならない)ため注意が必要です。

改正民法でもこの点が明記されることとなり、改正民法548条の2第2項は「相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意しなかったものとみなす。」と規定しています。なお、上記の「第1条第2項」とは信義則のことを指します。

無効とされる条項の具体例としては、企業側が故意・重過失により債務を履行しなかった場合であっても、企業側の責任が免除されるなどの条項は上記規定により組み入れが否定されると考えられます。

 なお、一般消費者が顧客となる場合には、上記の改正民法の規定とは別に、消費者契約法により消費者に不利な一定の内容については仮に利用規約で定めていても無効となります。

 また、利用規約はその性質上、事情の変更などによって内容を修正することが必要になる場合が考えられます。このような場合にサービスの提供者側が一方的に利用規約を変更する場合において、改正民法は一定の制限を設けています。

詳細は省きますが、利用規約の変更内容が顧客の一般の利益になる変更であれば問題なく変更が認められ、それ以外の場合には内容の合理性などの事情が総合考慮されて変更の可否が判断されると改正民法では規定されることとなっています。

 このように、利用規約は有効に活用すれば顧客とのトラブル防止等に役立つ重要なものですが、作成にあたっては改正民法の条項や消費者契約法等の法令に抵触しないような内容となるように注意するべきです。

 

 

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